
82歳の友人のお宅に行くといつも山野草が美しく飾られている 枯れてゆくさま 葉っぱや花がはらりと畳に落ちているのもまた美しく 煌びやかな瞬間だけを切り取って花をいけるとゆう概念が覆された
草木染めと織を生きる糧にしてきた彼女は 持っているものも極端に少なく とても質素に暮らしながら 行くたびに季節の山野野花で飾られた暮らしに対する彼女の美学に触れるたび その世界観に魅了され 見失っていたものを明確に意識して帰って来る自分がいる 華美でも強引でもないその美しさが心地よい
77歳の親友が創作したこの器に一間惚れした 庭先にほったらかされていたこの花器を譲ってもらってから 織の彼女の世界観への心地良さを 自分の暮らしの中にも取り入れてみたくなった
季節に自ずから芽吹いた静かで秘めた生命力高い草木を生けている 同じ花器 場所でも空間がガラリと変わる 生命の波が空間に毎回違う息を吐き出し その間合いにはっとさせられる 何度見ても魅了され浅い息を深く緩やかに戻す時間になる
アーティストでもないしクリエイティブもよくわからない 美意識なんてないただのおばさんだが…無理強いし 永続的ではない人工的クリエイティブの息苦しさとは別格で すでに世界は美しいものに溢れている そこに溺れるくらいのみこんでもらって暮らせている今はとても幸福な時間が流れる
ヨガに来た人が来たすぐに寝ちゃうことがある 不眠症の人がうっかり 寝ちゃったりもする ふっと寝ちゃうことがある きっと人の世界の日々の汚れを美しさと強さで満たし その波で溺死させてもらっているんだ そして息を吹き返した人はなんだかすっきりと目覚めた人になって ぷかぷかと浮いて帰ってくる なんて感じている